世界一栄養素が少ない!?【きゅうり】ホントの話&アイデアレシピ

食材塾きゅうり

【原案】        一般社団法人健康栄養支援センター
食育・地域栄養研究部 
管理栄養士
 檜山知子(お酢活研究所)

【編集・執筆】     一般社団法人健康栄養支援センター
食育・地域栄養研究部
管理栄養士 
健康食育シニアマスター

平松 聖月
人生が楽しくなる食事改善の専門家
【ブログ】ご飯がパワーの源です

今回の主役は「きゅうり」。「世界一栄養素が少ない!?」というタイトルに驚かれた方もおられるかと思います。
栄養素が少ないと聞くと「食べても意味がないのかな」と思われてしまうかもしれませんが、そんなことはありません。このコラムではきゅうりの魅力をたっぷりお届けしますので、楽しみに読み進めてみてください。
また、皆さんは、きゅうりが部位によって味が異なるのはご存知ですか?
同じ野菜でも、白菜など部位によって見た目の色が全く違うと、味の違いに気づきやすいかと思いますが、全体が同じ色に見えるきゅうりにも、実は部位によって特徴があるのです。
このコラムを通して、さらに美味しいきゅうりの食べ方を知っていただけると嬉しいです。

HNSでは食べることが大好きな栄養士が集まり、一つの食材を掘り下げて調査しながら、
その食材を使った美味しくて健康にも良いレシピを考える「食材塾」という勉強会を開催しています。

きゅうりについて

きゅうりはウリ科の野菜で、インド北部のヒマラヤ付近が原産と言われています。ヨーロッパや中国北部、中国南部へと広がり、日本で本格的に栽培されるようになったのは江戸時代からと言われています。語源は「黄瓜(きうり)」と言われ、ふだん食べている緑色のものは、黄色く熟れる前の若い果実です。

きゅうりイメージ

きゅうりの種類

日本では「白いぼきゅうり」が代表的です。白いぼきゅうりは、皮の色が濃い緑色をしていて、皮が薄く果肉が柔らかいのが特徴です。きゅうりの旬は6月~8月の夏場ですが、冬も温室で栽培されているため一年中流通しています。

品種改良により、いぼなしきゅうりなど、地域によって様々なきゅうりが栽培されています。石川県では、加賀太きゅうりという特産品があり、果肉が厚く、非常に大きいのが特徴です。肉質がしまっているので、そのまま食べるのはもちろんですが、煮込みや漬物にも最適です。

白いぼきゅうり
白いぼきゅうり
加賀太きゅうり
加賀太きゅうり

きゅうりの部位別特徴

きゅうりはどこを切っても同じというわけではなく、種の部分とない部分では、味わいも扱い方も違います

きゅうり部位

先端
先端部分は、えぐみやにがみが出やすいので切り落とす部分です。
上1/4
イボのないつるんとした部分です。種が少ないので、果肉が滑らかな一方、えぐみがでやすいのが特徴。縦に薄くスライスしたり、細かい千切りにして、サラダや刺身のツマなどにおすすめです。
下3/4
真ん中に種がある部位で甘さがあります。切り口が種ばかりにならないよう、斜め切り、輪切りなどにすると見栄えが良くなります。
切り分ける目安
表皮のイボの有無で、イボが無い上(種のない部分)と有る下の(種のある部分)に2分割して、使いわけましょう。

きゅうりの栄養成分

きゅうりの成分の約95%は水分ですが、ビタミンCやカリウムが含まれています。
カリウムには利尿作用があり、むくみやだるさ予防に摂りたい栄養素です。きゅうりには、アスコルビナーゼという酵素が含まれていて、切った後放置しておくとこの酵素の働きによってビタミンCが壊されてしまいます。酸はこの酵素の働きを抑えるので、サラダや和え物などには酢を使うとビタミンCの破壊を防げます。もぎたてのみずみずしさが命なので、時間がたってしまうと水分が蒸発してしまい、味も食感も極端に落ちます。新鮮なうちに食べるのがおすすめです。

きゅうり栄養価

きゅうりの保存方法

乾燥と低温が苦手な野菜のため、新聞紙に包んで常温で保存します(※2~3日で食べきるのが目安)。カットしたきゅうりは、冷気を当てないようペーパータオルで包み、冷蔵保存をしましょう。

きゅうりのアイデアレシピ

きゅうりとパプリカのカクテルゼリー

きゅうりとパプリカのカクテルゼリー

材料 分量(2人前)

人参20g
きゅうり20g
パプリカ(黄)15g
コンソメ小さじ1/2
200ml
酢 大さじ1/2 
醤油大さじ1/2
ゼラチン5g
塩・ブラックペッパー適量

作り方
①人参、きゅうり、パプリカを小さめのいちょう切りに切る。
②コンソメ、水、酢、醤油、塩、ブラックペッパーで①を煮る
※固さはお好みで
③火を止めて、②へゼラチンを加えてよく混ぜ、冷蔵庫で冷やし固める。

あんかけきゅうり

あんかけきゅうり

材料 分量(2人前)

きゅうり1と1/3本
だし汁200ml
みりん大さじ1/2
大さじ1/2
薄口醤油大さじ1/2
少々
片栗粉小さじ1
おろし生姜少々
大葉少々
醤油★大さじ1/2
みりん★大さじ1/2
だし汁(胡瓜の煮汁)★100ml

作り方
①きゅうりは、皮をむき、4cmの長さに切る。
②だし汁を煮たて、みりん、酒、薄口醤油、塩で調味し、きゅうりを煮る。串が通るようになったら、火を止める。
③別の鍋にあんの材料★を入れて、煮立ったら同量の水で溶いた片栗粉を少しずつ加え、よく混ぜる。
④きゅうりにあんをかける。おろし生姜をのせ、大葉を刻んで散らす。お好みでブラックペッパーをかけるのもおすすめです。

えぐみは「板ずり」で取っておきましょう
板ずり:軽く塩をふり、まな板の上で転がすとイボが取れ、色がきれいになり、えぐみも取れます。汚れも一緒に落とせます。

きゅうりと豚肉の味噌炒め

きゅうりと豚肉の味噌炒め

材料 分量(2人前)

きゅうり1と1/3本
みょうが2本
豚こま切れ肉140g
塩、こしょう各少々
サラダ油(炒め用)大さじ1/2
味噌★大さじ1と1/2
酒★大さじ1と1/2
砂糖★大さじ1/2

作り方
①きゅうりを縦半分に切り、スプーンで種をすくって、一口大に切ります。
②みょうがは縦4等分に切り、豚肉に塩、こしょうをします。
③油を熱し豚肉を炒め、きゅうり、みょうがの順に加え炒め、合わせ調味料★で調味する。

きゅうりのすりおろしそば

きゅうりのすりおろしそば

材料 分量(2人前)

きゅうり80g
ラディッシュ40g
そば(ゆで)2袋
100ml
かつお節5g
醤油50ml
みりん50ml

作り方
①鍋に水を入れ沸騰したらかつお節を入れて火を止め、1分程煮出す。
②別の鍋にザルを置き、キッチンペーパーを敷いて①をこす。
③②に醤油、みりんを入れ、沸騰したら火を止めて冷蔵庫で冷ましておく。
④きゅうりはすりおろし、ラディッシュをスライスする
⑤そばをゆでて水洗いし、ざるにあげて水きりをしておく。
⑥器にそばときゅうりとラディッシュを盛り付け、③のそばつゆをかける。

きゅうりと組み合わせると相性の良い野菜】
ナス科の野菜(なす、ピーマンなど)
香り野菜(みょうが、しょうが、大葉など
その他(とうもろこし、オクラ)

今後のレシピの参考にしていただけると嬉しいです。

以上、HNS栄養士おすすめの美味しいアイデアレシピのご紹介でした。
きゅうりのいろいろな魅力を知っていただけたでしょうか?
どれも大好評なレシピなので、ぜひ試してみてください♪

・農林水産省
・恵泉女学園大学園芸文化研究所 野菜の文化史
・JAあいち中央
・カゴメ株式会社 部位ごとの適した料理
・日本栄養・食糧学会誌 キュウリに含まれるギ酸の部位別分析と味覚特性
・野菜情報サイト 野菜ナビ
・栄養計算「APPRON Ver.7.0 for Windows」を使用(令和 2 年 12 月に発表された「日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)」を利用した栄養価計算を行うプログラム)

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