医療・福祉栄養研究部とは
医療福祉栄養研究部は、「臨床栄養」と「高齢期の栄養」の2つの分野を中心に、研究しています。
勉強会を中心に、調理実習や一般の方向けの講習会、食育展などのイベントへの参加など、幅広く行ってきました。
病院や福祉施設勤務の方だけでなく、企業や保育園、特定保健指導などメンバーの勤務先も様々です。

<臨床栄養分野>
臨床栄養分野は、いろいろな病気や病態の原因、それらの進展や治療に対する栄養面の関わりや、どのような栄養療法を適用すると最も良いのかを追求する学問です。
さまざまな疾病の予防や改善に貢献するものです。
HNSの設立以来、臨床栄養分野では、病気になった方への治療としての栄養面からのアプローチととともに、一次予防の重要性から、病気にならないための「予防医学を広めること」を一貫したテーマとして活動してきました。
予防医学を伝えていくことで、多くの方々が健康な生活を長く送ることができるように支援したいと思っています。
そのために必要な病態栄養や栄養管理の知識を学んだり、他の職場の仲間との交流の場として、勉強会の開催も続けてきました。
また、講習会やイベントの出展などを通して実際に一般の方に接して生の声を聞いたり、食の大切さを実感して頂けたりすることは、メンバーの励みやよい経験になっています。
今後も栄養士+αの強みも得られるように、メンバーひとりひとりがスキルアップできるような場として、楽しく活動していけたらと思っています。

<対象研究分野>
・主に生活習慣病全般について 病気・病態の原因、進展、治療
・各疾患別の食事療法
・献立作成
・栄養相談 相談別のアドバイス内容、コミュニケーション技術、コーチング
・食材そのものを深く調べてみる勉強会
・調理実習、治療用特殊食品の試食勉強会 など
<これまでの活動>
・勉強会
・病気のしくみや予防についての講座と調理実習を組み合わせた栄養講座
・基礎栄養学講座
・食育展においてSATシステムを使った栄養相談
・「リレー・フォー・ライフ・ジャパン・大阪あさひ」(がん患者さん支援の24時間チャリティーイベント)において、食堂運営や栄養相談ブースでの出展
・腎臓病の方への献立作成
・大阪市立総合生涯学習センター 総合フェスタ出展 栄養相談
・メンバー同士の交流を深める食事会
・会報制作
・平日勉強会(お茶会)
など
<臨床栄養分野における支援>
・栄養相談
・食事療養支援
・栄養価計算、献立作成
・講習会などへの講師派遣
・料理教室
・その他 病態栄養や予防医学における食・栄養支援全般

<高齢期の栄養分野>
高齢期における栄養・食事を中心とした食支援の観点から、毎日の営みである「食べること」を通じて、その人らしい生活を送ることができる、食支援の探究・提案をしています。
「食べること」は日常生活にある当たり前の行為であり、大きな楽しみのひとつでもあります。
単に栄養補給ということだけでなく、人と人とをつなぐ力、心を癒す力、身体を支える力となり、「生きること」に直結します。
しかしながら、各疾患による食事療法や食べる機能の低下に直面すると、食べたいものをそのまま食べることが難しくなります。
食欲不振や食事摂取量の低下などのリスクが高くなり、低栄養や生活機能低下、さらには要介護状態へとつながりかねません。
地域には、自立して生活している高齢者と要支援・要介護の高齢者が混在しています。
自立している高齢者への食支援は、介護予防の観点から、低栄養に基づく身体機能にかかわる問題「サルコペニア」や「フレイル」が重要視されています。

これらは、日常生活に支障をきたさない些細な変化に対して、いかに早期に気づくことができるかが求められます。
一方、要支援・要介護の高齢者に対する食支援は、「口から食べる」を包括的に支える体制が求められています。
病院や施設などでは、専門家が常にそばにいる環境にありますが、在宅では常にそばにいることはありません。
そのため、本人・介護者が実現、継続可能な内容であり、生活に密着した食支援を行わなければなりません。
これらをふまえて、これまで高齢期の栄養分野では、高齢期における栄養・食事に関する不安や疑問について解決していくことを目的として、勉強会、講習会などを開催してきました。
今後もメンバーの知識・技術向上を図り、層を厚くして、様々なご依頼に対応していきたいです。
<対象研究分野>
・栄養相談:高齢者・介護者が抱えている食事に関する疑問・不安についての相談
・居宅療養管理指導:対象者の自宅や施設にお伺いし、栄養食事指導や調理実習を行い、栄養状態の改善を行う
・サポートしているご家族・介護職員・関連職種向けの支援
・嚥下食・介護食などの調理実習
・低栄養予防・介護食のメニュー提案
など

<これまでの活動>
・勉強会 介護予防について
咀嚼嚥下機能について
予防期・ケア期におけるアプローチ
学会分類2013について 座学・試食・調理実習
・調理実習 咀嚼嚥下機能について(普通食・軟菜食・きざまる食・ソフト食の展開)
予防期・ケア期におけるアプローチ
高齢者の食事バランス診断
在宅支援のための作り置きおかず (旧HNS青年成人栄養部とのコラボ)
・講習会 低栄養予防・在宅支援 「たこあしレシピクッキング」
・レシピ集作成 作り置きおかず集 「たこあしレシピvol.1」
・栄養士支援講座 「介護食について知識を深めよう」
・外部講師を招いての講習会 認知症サポーター養成講座
・外部イベントへの参加 第35回 記念大会 南河内嚥下研究会
・東成区食育展出展
など

<高齢期の栄養における支援>
・栄養相談
・居宅療養管理指導
・低栄養予防・介護食のメニュー提案、栄養価計算
・シニアクッキング教室
・講習会、クッキングなどへの講師派遣
・その他高齢期の栄養分野における食・栄養支援全般

<医療・福祉栄養研究部>
■2020年度活動予定
(詳細は決まり次第掲載します)
〇今後の勉強会予定
病態栄養(2回):疾患別の病態の理解・検査値との関連など知識の復習から、栄養指導、アプローチ法
これについて、以下の日程で行います。日にちごとのテーマはまだ未定です。
・1/30 (土) 10:00~ ・ 3/14 (日) 10:00~
〇チーム活動 共通のテーマを持つ方が集まり、理解を深める活動。自由参加。
・離乳食チーム ・介護食チーム ・たこあしレシピチーム
・ジャーナル作成チーム ・個別活動チーム
〇一般向け講習会 今年度は11月の支援講座になります。
○予防医学のクッキング 一般向け料理教室 偶数月 第3日曜日
https://hns-japan.com/ippan/
〇介護食レシピ冊子(たこあしレシピ)発行
○各種イベント・講習会等への参加
〇栄養相談
○食事会
〇外部イベント・セミナーへの参加や情報共有
■2020年度活動報告
・4/15(日) 「予防医学のクッキング うつ・不安」 コロナウイルス感染予防のため未開催
・5/16(土)10時~ zoomミーティング
・6/21(日)10時~13時 「予防医学のクッキング 免疫力」 放出キッチン 担当:加藤 参加者:4名
・7/19(日) 10時~12時 zoom勉強会 参加者:10名
「健康栄養情報の取り扱いについて及びエビデンスの探り方」担当:笹渕
メインテーマ“「業務スーパーで激安で売っているブラジル産鶏もも肉は安全なのか?」”
テレビ等で知る情報や各自が気になることについて、その回答となるような根拠を各自が調べ報告しあいました。学術顧問の神谷さんにオブザーバーとして参加していただき、各自の探り方についてのアドバイスをいただきました。
・8/16(日)10時~13時 「予防医学のクッキング 肝臓疾患」放出キッチン 担当:加藤 参加者:2名
・9/5(土)13時半~15時半 zoom勉強会 参加者:10名
「持ち寄り症例検討会」担当:久保CD
各自、仕事場や様々な場所で出会った、困難症例や、指導案に行き詰ってしまった症例を持ち寄り、参加者同士でどんなアプローチができるかを、意見交換しました。70代男性/胃全摘後の増量や低栄養管理方法、中学生女子/小児肥満改善、60代女性/減量、の3症例と、その他も含めて多くの意見交換や情報共有ができました。他研究部からのご参加もありました。
・9/6(日)10時~13時 「美味しく食べてイキイキ脳活クッキング」放出キッチン 参加者:5名
一般社団法人 日本認知症予防協会様主催、HNS共催として開催させていただきました。昨年7月に開催後第2回目の開催でした。コロナ対策を行いながら楽しくご参加いただけて何よりでした。認知症予防協会様、参加者の皆様、ありがとうございました。
一般社団法人 認知症予防協会 HP https://www.mci-j.com/

・10/18(日)10時~13時 「予防医学のクッキング ガン予防」放出キッチン 担当:加藤 参加者:5名
・11/8(日)10時~12時 栄養士支援講座「介護食について知識を深めよう」 ZOOM開催 担当:吉田 参加者:13名
介護食について概論、学会分類2013について、市販食品やとろみ剤、ゲル化剤の紹介などの座学とともに、常食と、常食を学会分類のコード4→3→2-2に展開した献立例を動画を用いて解説しました。
・11/8(日)熟塾公開講座 「伝統の野菜三都物語「葱御膳」と第72回正倉院展を味わう会」にて 免疫力UP講座 担当:加藤
・11/15(日)13時半~15時半 ZOOM勉強会 参加者:9名
「症例検討 シフトワーカー向け栄養相談」担当:日比野
シフトワーカーの症例3例を挙げて、各自での支援例を出し合い、意見交換や情報共有をしました。困難な事例もあり、様々な視点からの意見は参考になりました。
・11/22(日) がん患者支援チャリティーイベント「リレー・フォー・ライフ・ジャパン大阪あさひ」にて、オンライン栄養相談実施予定⇒申し込みがなく中止
・11/23(祝月)介護食チーム勉強会 ZOOM開催 (参加者 4名)
ジャーナル
不定期で、ジャーナルを発行しています。
栄養情報満載♪是非ご覧ください。
★★2020年10月、第2号を発行しました!!ぜひご覧ください★★
2019.12発行 「なぜ朝食が大切なのか」「免疫力アップで風邪予防」
2020.10発行 「withコロナの日常を元気に過ごすために!」
コーディネーター紹介
「医療・福祉栄養研究部」には加藤里奈、日下千代子、久保亜矢子、中川真規子の4名のコーディネーター(世話役)により、運営されています。
加藤里奈
管理栄養士
JDA-DATスタッフ研修終了
A・F・T2級色彩コーディネーター

一般社団法人健康栄養支援センター 理事/副会長
メッセージ
少子高齢化が加速する日本において、病気になる人や重症化する人を少なくし、高齢になってもいつまでも元気に日々を過ごせる人々を増やすことが、大変重要です。
医療・福祉栄養研究部は、これまでの臨床領域を中心とした部と高齢者を対象にした部を母体としています。
臨床領域では、予防医学を広めるべく、病態栄養・栄養相談・調理などの知識や技術の獲得のための勉強会などを開催し、昨年度までで通算50回を重ねました。
高齢者領域では、「食べること」を通じて、最後までその人らしい生活を送ることができる、食支援の探究・提案をしてきました。
今後は、その両領域に加え、双方に重なる部分やお互いの関係する部分も学んでいくことで、より社会に求められる栄養支援ができるのではないかと思っています。
日頃の疑問、本業ではできないがやってみたいこと、興味があることなど一人一人が求めることをなるべく実現できるような研究部でありたいと思っていますので、気軽に積極的に参加していただけたらと思います。
メンバーの皆さんと一緒に楽しく活動していくことを楽しみにしています。
日下千代子
管理栄養士

経歴:デザイン制作、商品開発などの市場調査、デジタルコンテンツ、システム開発などの企業を退職後、短期大学で栄養士の資格を取得。
2019年管理栄養士となる。
現在の活動:「食」に関わるボランティア(子ども料理教室、支援の必要な子どもに食の提供など)
栄養士になりたかったわけ:
食いしん坊であるのが第一義であるが、「ヒトは一大化学工場」と例えられていることの意味とその仕組みを知りたかった。
ヒトー命あるものーは繊細で強健で、その営みが不思議で不可思議で年を重ねるとともに自然への畏怖がつのる。
メッセージ
命を育む栄養士の役割の重要度は増してきます。
心身と言うように「栄養」が体だけでなく心にも作用することが解明されつつあります。
体と心のための「食」を具体的に提案できるように共に学びあうHNSとなるよう尽力したいと思います。
久保亜矢子
管理栄養士
妊産婦食アドバイザー/離乳食アドバイザー/幼児食アドバイザー
BPファシリテーター
介護予防運動指導員

プロフィール
保健福祉センターにて非常勤として健康教室及び啓発に従事しおよそ10年。
乳幼児食事相談、幼児食親子クッキング教室など多数実施。
その他妊婦栄養教室や子育て支援にも取り組んでいます。
成人高齢者健康相談、成人高齢者料理教室など多数実施。
その他介護予防健康教室講師、特定保健指導など各種経験しています。
全世代に関わり、主に予防の観点から、各世代及び各個人に適した食習慣・生活習慣を伝えることを大切にしています。
メッセージ
HNSでは、実際の職場では経験できないこと、やってみたいことが実現できます。
疑問に感じていることも仲間と解決し理解を深めことができます。
みんなで挑戦していきましょう!
中川真規子
管理栄養士
オリーブオイルソムリエ
介護食士2級
プロフィール
食品会社に勤務しています。
母親が病気になった事から、健康(食事・栄養)について知識を深めたくなりHNSに入りました。
入会後は、勉強会・食育展・チャリティーイベントなどに参加しています。
いずれは、食の安全についてセミナーなどを開催できたらと思っています。
メッセージ
食は多様化していますが、何を選択するかは個々であると思います。
安全で栄養のある食を選び、組み合わせ、美味しく健康になる!
そんな「選択するための力」を皆さんと一緒に高め、発信出来たらと思います。
「日本の健康寿命を延ばそう!」と言えば大きな話ですが、身近な大切な人が「一日でも長く健康で楽しい毎日」を過ごせる事に貢献できたら!と思います。
よろしくお願いいたします。