栄養士から受験生のお母さんたちへ(4) 今年、特に注力するお母さんの役目とは

著者:尾崎小百合
食育・地域栄養研究部所属 管理栄養士

推薦入試なども始まり、受験シーズンになりました。
今年は心配事が増えて、なお一層の配慮が必要です。
親子共々イライラしたり、心配から、好ましくない言葉や態度をしがちです。
今回はこの時期に気を付けたいこと試験の日の食べ物についてお伝えします。

親の言葉・態度が与える影響

受験生が「親に言われて嫌だったこと、嬉しかったこと」というのを目にします。
一般的に言われているのは以下のようなものです。
心当たりがある方は気を付けて下さい。
お子さんは普段は何も言わないけれど、心の中で感謝していることもわかります。

【嫌だったこと】

・過干渉:成績について毎日のようにグチグチ言う。息抜きしている時にやる気がないとか言ってくる。

・無知・無関心:受験制度のことや大学のことを知らなさすぎる。

・大きな音でテレビを見るなど配慮がない。

・比較:友達や親戚の子と比べる。

・金銭:塾代や受験料にこれだけお金かかっているなど、お金のことをいう。

・傷ついた言葉:志望校に受からないだろうから、ランクを下げろなど言う。

受験生はナーバスになっています

【感謝していること・嬉しかったこと】

・信頼:模試の結果など、とやかく言わない。行きたいところを目指せと応援してくれた。

・生活面のサポート:毎日お弁当を作ってくれた。栄養満点のご飯を作ってくれた。

・塾の送り迎え。夕食やお風呂をタイミングよくしてくれた。

・精神的なサポート:自分の話を聞いてくれた。

・受験のサポート:志望大学や受験制度などを詳細に調べてくれた。

・励まされた言葉:これだけやったから大丈夫。どんな結果でもいいから、ベストを尽くしなさい。

親の言葉が励ましになったり、傷ついたりするので言葉を選びたいですね。
家は息抜きの場所、安心できる場所であって、親が追い込んで逃げ場をなくさないようにして下さい。

お母さんができること

生活面のサポートは、第1~3回にお伝えした通り、栄養バランスを考えた毎日の食事生活環境を整えることにつきます。

精神面のサポートは、お子さんそれぞれが何を求めているか、よく見て、寄り添う努力です。
家は元気を取り戻す大切な生活の場所です。

受験のサポートについては、私の話ですが、受験制度、試験科目、配点など詳細に調べ、学校の下見、願書の手配など、どの学校になってもいいように準備していました。
子供に聞かれてもすぐに資料を見て相談できる体制にして時間を無駄にしないようにしていました。

今年は、入試も感染状況によって変更があるかもしれません。
常に情報を取りにいき、知らない、慌てることのないようにしましょう。

今年は特に重要な役目です。

お弁当

嬉しかったことに「毎日お弁当を作ってくれた」とあるように、お弁当は子供とのコミュニケーションにもなります。
映画『今日も嫌がらせ弁当』や『461個のおべんとう』などお弁当がクローズアップされた映画が話題になっていましたね。

私がお弁当に食材を多く入れたい理由は、もちろん美味しいことなのですが、それだけではなく、炭水化物でブドウ糖の補給、たんぱく質を摂る、味の変化をもたせる、咀嚼をする、など食材が多いといろいろな効果をもたらすからです。
お弁当作りは「真の、陰の受験の応援」ではないかと思います。

筆者が持たせたお弁当①
筆者が持たせたお弁当②
筆者が持たせたお弁当③

試験の日

毎日、食事に気を付けていても、試験の日はいつものようにはいかないことが多いです。

〇多くの受験生は食べられなくなる、食べたくなくなる。

〇遠方で朝が早い、宿泊するなど手作りのものを用意できない。

〇ブドウ糖の補給、疲労回復、リフレッシュできるものを用意する

それらの対応として、

・小分けにする

・食べたいものを選べるようにいくつか用意する

・休憩時間のお菓子を数種類用意する

・飲み物も2,3種類は用意する(お茶、お水、コーヒー、糖分をとる飲み物、温かいもの、冷たいもの)

筆者は2本水筒を持たせました

模試や講習会の時に、何を食べると、何を飲むと、パフォーマンスがあがるのか、リフレッシュできるのか、お子さんには普段から意識しておいてもらうことが大事です。

お子さんと試験の日に何をどんな風に用意してほしいのか事前によく相談してほしいと思います。

試験会場近くでコンビニを利用する場合の注意として、コンビニの場所の確認をしておく、また会場近くは受験者の利用が多いので、品薄、売り切れが起こり、買いたいものが買えないということもあります。
我が家の場合、本人が好きなおにぎり(昆布)・パン、ゼリー飲料、ラムネ、チョコレート、キシリトールガム、クッキー、バームクーヘンを持っていき、選べるようにしました。

休憩時間のお菓子

脳の主な活動エネルギーはブドウ糖です。
そのため、試験前、休憩時間に効率的に摂ることが重要です。

しかし、くれぐれも摂りすぎには注意です。

ラムネ:ブドウ糖90%のラムネが大人気です。
参考:森永製菓 https://www.morinaga.co.jp/ramune/

手軽に持っていけるラムネ

チョコレート:ブドウ糖が含まれているほか、カカオポリフェノールは、BDNF(脳由来神経栄養因子)と呼ばれる脳内物質を活性化させることや、テオブロミンというカフェインと似た成分も含まれており、集中力や記憶力、思考力を高めることが期待できます。
参考:明治製菓 https://www.meiji.co.jp/sweets/chocolate/chocokoka/howto/

ガム:噛むことには集中力や記憶力の向上、ストレス低下の効果があると言われています。
参考:噛むこと研究室(㈱ロッテ) https://kamukoto.jp/brain/924

ゼリー飲料:喉越しもいいので食べたくない時の食事代わりになります。
様々な種類があり、また同時に水分を摂取することになるのでトイレが近くならないか、本番までに自分に合うかどうか試しておくといいと思います。

最後に

繰り返しになりますが、今年は感染状況で入試が変更することも想定されます。
常に情報を収集し、変更にはすぐに対処できる準備をしておくことが親御さんができる大事な大事な役目です。

受験をフルマラソンに例えるなら、親は伴走者です。
走るお子さんの様子を見て、適切にサポートしてゴールへ導いていく役目です。
ゴールは近いです、頑張りましょう。

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