甘酒って健康に良いの?管理栄養士が解説

甘酒

著者 プロフィール
池上淳子
一般社団法人健康栄養支援センター 代表理事
運動女性栄養研究部コーディネーター
日本ビューティーヘルス協会 会長
管理栄養士/美容食インストラクター
池上淳子

甘酒とは

甘酒は日本の伝統的な甘味飲料の一種で甘粥(あまがゆ)とも呼ばれている。

起源は古墳時代に遡り、『日本書紀』に甘酒の起源とされる天甜酒(あまのたむざけ)。
「一夜酒(ひとよざけ)」または「醴酒(こさけ、こざけ(「濃い酒」の意))」と呼ばれていた。

飲む点滴

甘酒には、多くの種類の栄養素が含まれていますが、各栄養量は格別多いわけではありません。
糖質が多く含まれていますので、高エネルギーで疲労回復効果などが期待できます。
「飲む点滴」と称されることもありますが、体力を回復してくれる飲み物としてそのように言われています。
(決して点滴と同じような成分が含まれている訳ではありません)

甘酒は発酵して作ります。
発酵によって、デンプンはブドウ糖に、タンパク質はアミノ酸にというように小さく分解されます。
ある程度消化分解されたものを摂る事になりますので、カラダは大きな消化活動をする必要がありません。

ですので、胃腸の調子が悪い時、免疫が下がっている時、食欲が無い時、体調が悪く身体が弱っている時などに素早くエネルギーになる・・というところから甘酒は「飲む点滴」と言われていると思われます。

江戸時代からの栄養ドリンク

俳句では夏の季語となっていまして、夏バテを防いだり、体力回復に効果的ないわば「栄養ドリンク」として、江戸時代には夏の風物詩だったと言われている。

冬季では体が温まるように、また風邪の予防として甘酒を熱くし、夏季はさっぱりと飲めるようにショウガ汁を入れて飲まれることがある。

甘酒

「酒粕」「米麹」2種類ある

米麹の甘酒

米麹

 麹菌の発酵によりデンプンが糖に変わって自然な甘みや旨みがあるものです。アルコールはほとんど含まれていませんのでお子様や妊婦さんにも安心して飲んで頂くことが出来ます。

また、米麹の甘酒に含まれるコウジ菌、オリゴ糖、食物繊維は、善玉菌のエサになることで、腸環境改善にも役立ちます。腸内の悪玉菌を減らし、善玉菌を増やすことで、便秘予防、免疫力UP、代謝UPなどが期待できますし、美容面でも美肌効果など期待できます。

酒粕の甘酒

酒粕

酒粕はお酒をつくる過程でできる副産物で、甘みがありません。
その為、酒粕で甘酒をつくるときは砂糖を加えて作ります。
アルコールが少し含まれていますが微量の為、アルコール飲料にはなりませんが、お酒の弱い方や小さなお子様には少し注意が必要です。

不溶性食物繊維が豊富で、便秘予防や腸内環境改善に役立ちます。
ビタミンB6、葉酸が比較的多く含まれます。
ビタミンB6はエネルギーの代謝に役立ったり、タンパク質の消化に欠かせない栄養素です。
葉酸もエネルギー代謝や造血にも必要な栄養素です。

「レジスタントプロテイン」訳:消化されにくいたんぱく質というのが含まれ、酒かすの健康パワーと言われています。
酒かすを食べたとき体内では「レジスタントプロテイン」は消化されにくいのでそのまま小腸へ。
そこで、食べたコレステロールや油を捕まえて、消化吸収されることなく排泄してくれる作用があります。
そうすることで「LDLコレステロール値の低下作用」や「便を柔らかくして便秘予防効果」が期待できます。

ダイエットなどに効果的

米麹でつくる甘酒、酒粕でつくる甘酒もどちらも良い効果がたくさんあります。
どちらも注目すべきは「発酵食品」ということです。

発酵食品の効果

 ・抗酸化作用
 ・消化・吸収されやすくなる
 ・旨み、甘み、香り、色が作られる
 ・腸内環境を整える効果 など

【抗酸化作用】

体内で発生した過剰な活性酸素が体内のあらゆるところを酸化して、病気や老化の原因になると言われています。発酵食品である甘酒は活性酸素を除去して老化抑制をしてくれる抗酸化作用があります。

【消化・吸収されやすくなる】

 食べたモノは口、胃、腸といった消化管の中で分解され消化吸収されていきます。発酵食品である甘酒は消化分解されている成分が多いので素早くカラダに吸収されるという利点があります。体調が悪い時、胃腸の調子がすぐれない時など「飲む点滴」として利用すると良いでしょう。カラダに優しい飲み物です。

【腸内環境を整える効果】

美腸

 腸の中には数百種類、約100兆個の腸内細菌があり、腸内フローラと呼ばれています。
腸内細菌には善玉菌、悪玉菌、日和見菌とあり、善玉菌が優位だと免疫機能が向上し、ビタミン産生と分解などが高まり病気になりにくくなり、元気なカラダを維持することができます。
一方悪玉菌が優位だと、腐敗物質、発ガン物質、毒素の産生などが活発になり体調が悪く、不調が続く可能性があります。
日和見菌は善玉菌と悪玉菌の優勢な方につく菌となります。

 食べたものをキチンと消化吸収するためにも善玉菌が優勢な状態にすることが大切です。
消化吸収がキチンとされれば代謝もよくなり、健康的なダイエット効果も高まります。

 甘酒にはコウジ菌、オリゴ糖、食物繊維などの善玉菌のエサになるものが含まれ、腸内環境改善に効果的と言えます。